こんにちは!アラサー女のフリーデザイナー、カニです。
去る2/17(土)なのですが、私が出展している写真展「4人の女性×カメラ×産業遺産」のトークイベントを終えました。
【宣伝】3/31まで岩見沢で写真展やっています。素人ながらに、産業遺産のステキさを伝えられたらと思ってます。月・火休館、入場無料。(自動Tweet)pic.twitter.com/Z9QsEgNEBH
— vかにv@赤平のデザイナ (@ka2_design) 2018年2月14日
こちらの写真展なのですが、私のバイト先でもありまして事務局長から「カニさんも出して~♪」と言われたので深く考えず「はーい♪」とお返事をして始まりました。実際のところは印刷に耐えられる写真を発掘するのが非常に大変で…。今までいかに適当に写真を撮っていたことかと大反省でございました。
そういえば写真展、私はキャプションにご好評をいただいております。そう、キャプションで勝負するのです。写真はともかく、キャプションを読めばきっと写真が面白く見えてくると思うのです。 pic.twitter.com/4mHg85PFo9
— vかにv@赤平のデザイナ (@ka2_design) 2018年2月10日
結果、「視点」と「キャプション」には自信があるけど写真の質には自信のない出展となっております。笑
ぜひ来た方はツッコミを入れながら写真を見ていってもらえたらと思います。私の物に関しては写真の写真を撮ってSNSに上げてもOKですよ。
で、本題のトークイベントですよ。私は人前で喋るのがめっちゃ苦手です。緊張して声は震えるし(会場が寒かったという説も有り)、どこ見て喋ったらいいのか分からないし(お客さんめっちゃ近い)、自分が何言ってるのか自分でもよく分からないし、なんとも恥ずかしい感じだったのですが、たまに皆さんが笑ってくださったお陰で無事に終えることが出来ました。
今回はそんなトークイベントで話しながら、そして聞きながら思ったことを備忘録的にまとめておこうと思います。
「女性の視点」じゃなくて「私の視点」
今回の写真展は「4人の女性」によるもの。それぞれ視点が違っていて面白かった、と色々な方に言ってもらえるのですが、そもそもどうして「女性」じゃないといけなかったのでしょうか?
どうやらその背景はそもそも「産業遺産に興味がある」という人には女性が少ないと多くの方が感じていることにあるようです。
確かにこのイベントに今回参加してくださったプロの写真家さん、前畑温子さんも「女子的」とタイトルに入った本を出版されていますが、このような女性的なデザインや柔らかい雰囲気の本は珍しいと私も感じています。
△赤平も出てきます
しかしトークイベントで全員が思っていたことは「私たちは『女性だから』という思いはない。あくまで『私』の視点で見ている」と思っていました。男だからこうだ、女だからこうだ、という話をするのは何か違うような…という気持ちもありましたし、何より私も実はそうなのですがトークイベントの話者・司会共に4人全員が「自分はいわゆる『女子』っぽい女子ではない」と思っているところがあったように思います。
しかし『私』たちは当然ですが全員が女性です。そんな共通点を持った4人が集まれば、もしかしたら何か共通項が見つかるかも?と思っていました。
専門的(マニアック)=男の世界?
そういえば突然ですが、私は大学でジェンダーの勉強をしておりました。ジェンダーとは何かを簡単に言うと
「生まれながらではない性差」
のことです。
体格、筋肉量、ホルモン、またそれらに由来する性質…いわゆる「生物学的な性差」に対して、生まれたときには男女で違いが無かったのに育つ上で周りからの影響で出てくる性差…男は寒色が好き、男は強くあるべき、女はおしとやかなもの、女はスカートをはくもの…こんなのが「社会的な性差」つまりジェンダーです。
- 作者: アラン・ピーズ,バーバラ・ピーズ
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2012/01/01
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本でいくとこれが結構有名ですよね。
ジェンダー(男らしさ、女らしさ)はその社会や文化によってかなり違っていて、日本では「強さ・たくましさ」が男らしさ、「弱さ、優しさ」が女らしさと分類されることが多いのですが違う文化では全く逆になっていることもあるほどその社会に左右されるものです。
中にはもちろん生物学的な性差に多少由来するものもあるのでその違いを細かく挙げると難しい部分もあるのですが、日本では不思議なことに「専門的であること」もかなりの割合で「男らしさ」とされることが多いのも事実です。
私が大学で聞いて「あぁ~確かに~~」と思ったのは、コックさん(プロ)は男性で描かれることが多く、家庭料理(アマチュア)は女性で描かれることが多いというものでした。これはきっと長く日本では女性が社会進出していなかったことに由来するのではないでしょうか。
そう考えると恐らく「専門的であること」、言い換えると「マニアック」なことも男性的だと思われているのかもしれないと思いました。
また日本では男の子は小さいころからおもちゃには車やロボットが与えられ、女の子にはお人形やままごとセットが与えられます。産業遺産はこの「車やロボット」の興味の延長になりやすいというのもあるのかもしれません。
活動的・アクティブ=男らしい?
男の子は元気に活発に、女の子はおしとやかに優しく。長いことそれが当たり前だと育てられた文化の中では野山を駆け回って泥だらけになって遊ぶことは「男の子っぽい」ことでした。
結果としてアウトドア系の趣味も「男らしい」と捉えられてきたのかもしれないと思っています。
先に出てきた本「女子的産業遺産探検」にも書いてありますが、産業遺産は山の中まで行ったりとアウトドア要素満点です。
一時期山登りが趣味の若い女性を指して「山ガール」なんて言葉もあったように思いますが、きっと若い女の子がアウトドアを楽しむことがそもそも珍しかったために生まれた言葉なのかもしれません。だって「山ボーイ」という言葉は存在しなかったわけですもんね。
なんにせよ、若い女性がこぞって「男(とちょっと変わった女性)の分野」だった趣味に進出すると社会は珍しがって注目するものなのですね。
しかし先ほども書いたように、活動的な趣味が男っぽいなんてことはありません。それはただ単に日本のジェンダーが作り出したイメージなだけであって、実際のところは女性がアクティブな趣味を持っていたところで変でも何でもないはずなんです。
ただアウトドア系の趣味になるとよく「女性には体力的に厳しい」「トイレの問題がね~」と言われません?
これってすごく謎なんですが、体力って男でも女でも人それぞれですよね。アウトドアを楽しむ人は自分の体力に合わせて趣味を楽しむと思うのですが…別にそれを無理して体力の高い人に合わせる必要ありませんよね?体力の違う人同士で趣味を楽しむのであれば、お互いに配慮すればいいだけで、違いすぎるのであれば別々に楽しめばいいと思うのですが…。
そしてトイレも、そもそも男性もそこら辺でするの、どうかと思いますよ。笑
…いや、もしかしてこの世が女性だけだったら女性もそこら辺でするのかもしれませんけど…。笑
とにかく、色んなステータスの人が楽しめるような環境だと、男性だろうと女性だろうと何だろうと関係なく楽しめるようになるのだろうなぁと思っています。
そしてアウトドアっぽい趣味を女性がやってても最近は「男らしい」「男まさり」なんて言われずに普通のこととして捉えてもらえるようになってきているかと思うので、その波が産業遺産にも来たらいいなぁと思います。
競争する男性と共感する女性
先ほど出てきた「文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女」にも出てきましたが、男女ではコミュニケーション方法にかなり違いがあるそうです。
話はずれますが、男性が女性的なコミュニケーション方法を取ると女性からものすごーーく好まれるのに、女性が男性的なコミュニケーション方法を取るとかなりの確率で嫌がられます。それをいつも理不尽に思っていました。笑
まぁ置いておいて…
男性は生まれながらに「競争する生き物」なんだそうです。それは今のような文明ができるまでの長ーーーい期間、人間の男性が狩りを行ってきた名残だというのが大まかな主張だったと思います。
実際、男性ホルモンの中の大部分を占める物質「テストステロン」にはこんな効果があるそうです。
胎児から生後6ヶ月の間にかけて、テストステロンは大脳の性差に影響を及ぼすと言われています。その結果、例えば、ある種の男性的な攻撃性や気の短さ、怒りっぽさをはじめ、「物事のとらえ方」や「思考パターン」、「決断力」などの、「男らしい考え方」に影響すると言われています。
テストステロンが精神面に及ぼす影響については様々な文献で解説されていますが、これらをまとめて表現すると、「粗っぽくてデリカシーが無いし、短気で怒りっぽい面もあるけれど、明るく前向きでたくましく、ワイルドでセクシー」な傾向に導くものだそうです。まるで娯楽映画に出て来るヒーローです。これに経験と知性にもとづく忍耐力と包容力、そして身体能力を身につけたら、かなり格好よい人物像かも知れません。
(Copyright (C) 1999 大東製薬工業株式会社 最終更新日 : 2012/02/01)
これによって 男性はいつも「他の男性より優れたい」と思うようになり、コミュニケーションですら常に闘争です。相手の話をいかに自分の話に持って行くか、自分の優位性をどうやったら示せるかが大事になるのです。
また会話になると相手の感情や性格などはどうでもよく内容が重要になるため感想などの情報は省きその時必要な最適な情報だけをやりとりします。これが一般的な「男性的な男性」のコミュニケーションと言われます。
また競争する社会性から上下関係を好み、相手と自分の立場をハッキリさせたがるのも特徴です。
つまり~♪
長いこと女性は日本では「地位が男性より下」でした。実際の所は「かかあ天下」だったとしても、社会的には基本的には家長が一番上、みたいな制度の中で生きてきたために、競争相手じゃなかった(自分より下の地位だった)安心して付き合える女性が、突如として競争相手となることを男性は結構な確率で嫌います。(そら競争相手増えるもんな)
嫌うだけならまだいいんですけど足引っ張ったり蹴落とそうとしたり…いやほんと迷惑だから黙って仕事しててくれ…と思ってましたけど、男性の「競争」に食い込むってそういうことなんだなって思いました。。。
また話がずれました…
一方で女性は「共感」の生き物です。
男性が競争しながら狩りなどを行っている間、女性は女性同士でコミュニケーションを取りながら採集や子育てを協力して行ってきました。つまりコミュ力が高いことが女性同士の中をうまくやっていく術だったのです…!!
男性はつい「解決さえすればいい」と考えてしまうもの。
— マンガで分かる心療内科と心理学と色々 (@sinrinet) 2015年7月19日
それより話を聞いて、受け入れることを大切にしましょう。
もちろん悩みを抱える男性相手にも通じる話です。http://t.co/XXSJPs9Aim pic.twitter.com/v6fLp6BWw7
これは以前にツイッターで見かけたマンガなのですが
(見れない方は以下から)
これがよくある女性のコミュニケーションパターンで男性がイライラするやつですね。というか女性もイライラするやつですね。
で、そんなコミュ力が大事な女性の世界では、一人だけ上位に立って飛びぬけることや輪から外れるような行動は群からの孤立を招くため好まれません。
そんな女性コミュニティの中で「男性的」とされている趣味に一人だけ飛び込む女性がいたらどうでしょう。
男性部員しかいないラグビー部に女性が入ったら。
男性社員しかいない土木現場に女性社員が入ったら。
男性ばかりが通うプラモデル屋さんに女性客が入ったら。
男性からの視点は置いておいて、女性は「あいつ何?目立ちたいの?男好きなの?」ってなりそうだと思いません?
あぁ怖い…
女性はそうなるのを避ける傾向にあることから、たぶん趣味も「多くの女性が始めた」という状況を用意しなければ一歩踏み出しにくいのではないでしょうか。
そう!
つまり男性客ばかりを対象にした商売をしている所!そこは女性にブームを起こせば需要の拡大を見込めるというわけですね!(本当かよ)
でもそうすると今までは「変わってると思われたくない」と遠慮していた女性たちも堂々とその趣味やらなにやらを楽しめるようになるわけですからね。双方に取って悪いことじゃないですよね。
「オシャレ・可愛い」じゃないと女性は興味なし?
「女性に興味を持ってもらえるように、オシャレにしました!」
…なんて文句、よく聞きません?
この「オシャレ・可愛い=女らしさ」っていうのもただのジェンダーなので別に男性が好きでも全く問題ないのですが…でもやっぱり男性が「オシャレなもの・可愛いものが好き!」って言うと変な目で見られますよね。
女性は長いこと「オシャレさ・可愛さ」を謳歌することを許されてきました。興味を持つようになるのも当然のことですよね。逆に「ダサい」のが嫌だと思うようになってもおかしくないと思います。
一方で男性は「かっこよさ」は男のものだったのですが「オシャレさ・可愛さ」には興味を持たないように育てられていきます。
恐らく結果として男性的とされる趣味は「かっこよさ」、女性的とされる趣味は「オシャレさ・可愛さ」が多くデザインに取り入れられるようになっていったのでしょう。
となれば当然、オシャレで可愛いデザインの物が多い趣味に女性が興味を持ちやすいわけですよね。
それはただ、その趣味が女性に向いているとか向いていないとかの話ではなくて、オシャレじゃない物を女性が好きだと変だって話でもなくて、単に「女性が興味を持つ確率が高いかどうか」って話です。
そう考えると、産業遺産に関しては男性の中でも趣味としている人ってかなり確率が低いと思います。しかしもし女性にも男性と同じ間口を広げて同じ確率に出来たとしたら、その趣味の人口は倍になるわけです!
そうなったらいいのにな~♪
結局、今回の「女性の視点」ってなんだったのか
トークイベントの日、知っている方や関係者が多数ではありましたが約50名という方が集まってくださり、新聞に掲載されるなど注目してもらっているな~と思っていました。
しかし「女性ならではの視点」って言われるたびに疑問を感じてきました。
私は女性だから好きなんじゃない。
ただ好きなだけなんだ。
別に女性ならではの視点なんか特別気にしてない。
なので今回この写真展は当初は「いや別に一人ぐらい男性混ざっててもいいんじゃないの?」とか実は思っていました。笑
ただ色々考えてみると、やっぱり「女性が少ない」分野に注目を集めて少しでも興味を持つ人を増やすためには「女性が!」って言うことは有効なんだろうと思うに至りました。
男性だって女性だって関係ない。
みんなそれぞれの視点でそれぞれの想いで産業遺産を見ています。好きなポイントも、気になるポイントも本当に様々です。
だけど、それは別に男性だけに許されたものじゃないんだよ!女性だってそうやって「それぞれの想い」で見ているんだよ!って言うためのイベントだったのかもしれません。
そしてそれを踏まえて女性に間口を広げていくために…
- 別に女性が崖登ったり草薮かきわけて産業遺産に行ってたって変じゃない!
- ひとりで行くのはちょっと…という子も多数だから、みんなでワイワイ見たっていいじゃない!←それを「ニワカ」と馬鹿にしたり、知識量で競争(マウンティング)したりするのはアウト。
- 可愛いこととかオシャレ感があると興味を持つ女性が増える!?
と思った次第です。
そしてそうなった時に、コミュ力を大切にする女性はきっと「自分がステキだと思ったこと」を周りに共有してくれます。そうするときっと少しずつでもこちらを見てくれる方が増えていってくれるに違いない!…と思っています。
…だからとりあえず
自分も多少コミュ力を上げ、オシャレさに気を使わなければ…!!(戒め)
長くなりましたが、以上
備忘録でした。